きつねこぶたの創作部屋

きつねこぶたの創作小説プログです。ただいま<私立クリスティ 学園シリーズ>を連載しています。
[ ご挨拶 ]
2007/06/05(Tue) 15:04:45
 きつねこぶたの創作部屋1へようこそ!

 こちらでは、きつねこぶたの創作小説を連載しています。
 つたないお話ですが、一生懸命書きました。

 *連載作品紹介*

<私立クリスティ学園シリーズ>
 第一巻 『生徒会室にようこそ』

 <あらすじ>

 初恋の人を追いかけて、私立クリスティ学園に転校した後野 茉理。でもこの学校はなんと、日本に現存する魔族の学校だった! 初恋の人とは、無事に再会出来るのか。魔法飛び交う学園の中、茉理を待つ運命の出会いとは――。

*この物語は、完全なるフィクションです。実在の人物、団体、事件などには、一切関係ありません。

  今回の作品は、恋愛度2:魔法5:ユーモア3の割合です。
 一応学園物です。(でもこんな学校があったら、かなり嫌かも)
 全年齢閲覧可能ですが、文部省推薦図書ではありません。よって、少々、いやかなりのお目汚し部分があることを、ご了承ください。
 

 それではこれで挨拶を終わります。
 長い連載になりそうですが、どうぞ見捨てず、お付き合いくださいませ。
 
 byきつねこぶた


 *文末に、<続きを読む>表示が出ていることがありますが、続きには、本文とまったく関係ない、拍手コメントのお礼が書いてあります。本文だけを楽しみたい方は、<続き>は無視してくださいね。






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ご挨拶 / TB : 0 / CM : 4 /

[ 序 ]
2007/06/05(Tue) 20:07:32
 その日。
 私立クリスティ学園の門を、潤んだ瞳で見つめる少女がいた。
「来た・・・やっと来れた」
 両手を組み合わせ、真新しい制服に身を包んだ彼女は、祈るようにあこがれの校舎をみつめる。
「君、新入生かい?」
 門の内側から、警備員の声がする。
「まだ登校時間じゃないよ。6時じゃないか」
 わかってます、と少女はつぶやき、うつむいた。
「でも来たかったんです。早くここに」
 動かない彼女を不思議そうに見つめながら、警備員は戻っていった。
 少女は、うっとりと門の中を見る。
(大きな桜の木。やっぱり手紙の通りね)
 桜の巨木が門のすぐ横にそびえ、白い花びらを散らしている。
 まだ朝方の薄もやの中、少女は感激に浸りながら いつまでもそこに佇んでいた。


 くすくすくす・・・。
 小さな笑い声がして、彼女は我にかえる。
 門の外側まで張り出した桜の大枝に、誰かがもたれて座っていた。
 白い花に包まれて、彼は微笑む。
 少女はしばらく見とれていたが、やがて頬を赤くした。
 こんな時間に、ここに立って、一人の世界に浸っていたのだ。
 さぞかし変人と思われただろう。
「ねえ、君。どうしてここに来たの?」
「え?」
「だって、とても嬉しそうじゃない。そんなにここに来たかったの?」
 大人びた少年は、綺麗な笑みを浮かべた。
 少女はうなずき、答える。
「わたしの初恋の人が、ここにいるんです」
「そう。会いに来たんだ」
 彼は、ふわっと体を動かした。
(え!?)
 次の瞬間。
 彼は高い木の枝から自然に降りると、少女の前に立っていた。
 黒髪に縁取られた綺麗な笑顔に、少女の心臓はどきどきする。
 彼は、長い指を彼女のあごにかけ、上向かせた。
 瞳を合わせ、やさしく微笑む。
「会えるといいね。その人に」
「・・・・・・」
 にこっとすると、彼は少女の横を通り過ぎる。
 肩と肩がぶつかった。
「あ・・・」
 彼女は振りかえる。
(嘘・・・いない!)
 数秒前、通り過ぎた少年は、影も形もなくなっていた。
(わたしの見間違い? 夢・・・だったのかな)
 いつまでも少女は、彼が行ってしまった方を、不思議そうに見つめていた。


第一巻<序> / TB(-) / CM(-) /

[ <1>−1 ]
2007/07/07(Sat) 10:54:55

「本日は、天候にも恵まれ、春の良き日に---」
 新学期を祝す学園長の祝辞が、体育館で延々と続いていた。
 一応皆、まじめな顔をしているものの、まともに聞いてるのは1割もいないだろう。
「あーあ、やっと終わった」
「これで帰れるぜ」
 入学式が終わり、生徒たちはぞろぞろ教室に向かう。
 長い髪を三つあみにした少女は、きょろきょろしながら、辺りを見回していた。
「ねえ、あなた、新入生でしょ」
 後ろからかけられた声に、彼女は振り向く。
 どこかで見たことある女の子が、にこにこ近寄ってきた。
「迷ったの? 私たちの教室はこっちよ」
 手を握ると、彼女はぐいぐい人ごみを掻き分け、少女を引っ張っていった。
「あ、あの・・・」
「いいからいいから。早く行かないと、先生に怒られるって」
 引かれながら、少女は思い出した。
(えーと・・・あ、そうだ、同じクラスの子だっけ)
 さっき体育館で、自分の前に立っていた子だ。
 彼女を振り返り、女の子はにこっとした。
「川本 奈々よ。よろしく」
 明るく微笑む奈々に、少女も嬉しくなった。
「あなたの名前は?」
(うっ、来たわね)
 内心ひるみながら、少女は心の中でうめいた。
 あんまり言いたくないのだが、いつまでも隠せるわけがない。
(どうせクラスで出席取ったら、一発で覚えられるしね)
 彼女は腹を決めると、答えた。
「あのさ、あんまり笑わないでよ---って、無理だけど。後野・・・」
「え?」
「後野・・・茉理・・・」
「は? 後のまつり? 何言ってるの」
 奈々は、あきれた顔で茉理をねめつけた。
「もう、行くわよ。早くしないと先生来ちゃう」
 通じないことにため息をつきつつ、茉理は奈々に手を引かれ、教室に向かった。

第一巻<1> / TB(-) / CM(-) /

[ <1>−2 ]
2007/07/07(Sat) 10:56:25
「まさか、それが名前だったとはね」
 初めてのホームルームが終わり、下校になった。
 奈々は、くすくす笑いながら、茉理の机に寄ってくる。
「もう! そんなにうけないでよ」
 ぶつぶつ言いながら、茉理はため息をつき、かばんを持った。
「だあってさあ、いくらなんでもすごすぎ。一体誰がつけてくれたの?」
 一緒に並んで歩きながら、笑いが止まらない奈々に、茉理はふくれて答える。
「おばあちゃん。もう半分ボケちゃってるんだけどね」
 自分でも、嫌でどうしようもないのだが、親がそれで市役所に登録しちゃったんだから、開き直るしかない。
「大人になったら、絶対改名してやるわ」
 こぶしを握り、決意を固める茉理に、奈々は言った。
「でも茉理って名前、けっこう可愛いんだけどね。苗字と合わせると・・・ぷぷっ」
 思い出したのか、彼女は口に手を当て、笑いをこらえた。
「さっきの町田先生の顔ったら、すごかったしね」
「・・・・・・」
 茉理の担任 町田先生が名前を呼ぶとき、なんとも言えない顔をしたのが、彼女の脳裏にも浮かんできた。
『えーと、女子の出席番号1番、後野・・・? うん? これ、なんて読むんだ? あとの? いや、一番だから、あ、だよな・・・』
 散々迷ったあげく、困った顔で、つぶやいたのだ。---あとの まつり、と。
 あーっ、あの瞬間、穴があったら---いや、なかったとしても、自分で掘って、埋まりたい心境だったよーっ。
 茉理は、心の中で頭をかかえた。
 いつも新学期には恒例のこととはいえ、すごくすごく傷つくのだ。
 そこで、『はい』と返事をしなければならない自分が、嫌でたまらない。
(おばあちゃーんっ、一生憾んでやるっ)
 茉理は肩を落とすと、奈々と一緒に階段を降りていった。


第一巻<1> / TB(-) / CM(-) /

[ <1>−3 ]
2007/07/07(Sat) 10:58:08
 昇降口まで後一歩のところで、茉理ははっと顔をあげた。
 今、横をすれ違った男子生徒の集団を、振り向いて、穴の開くほど見つめる。
「どうしたの? 後野さん」
 奈々が不思議そうに、茉理の視線を追う。
「誰か知ってる人でもいたの?」
「え・・・ううん」
 茉理は、首を横に振ると、また前を向いた。
 昇降口で、靴を変えながら、唇をきゅっと引き結ぶ。
(あせらなくても大丈夫)
 上靴を靴箱に入れながら、自分に言い聞かせた。
 ここまで来たのだ。
 同じ学校に---同じ校舎の中にいる。
 あの人は、逃げたりしない。
 必ず会える、絶対近いうちに。
「後野さん、行こう」
 明るくかけられた声に、茉理は笑顔で応じながら、玄関を出た。


第一巻<1> / TB(-) / CM(-) /



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