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2007/08/18(Sat) 09:54:28
いつもと変わらぬ平穏な一日が過ぎた。 (今日も、無事に終わったわ) 茉理は、ほっとしながら、校門をくぐった。 帰宅する彼女の、長い影がのびる。 それを、忌々しそうにみやる少年がいた。 「くそっ・・・」 悔しげに唇をかみ締め、帝は空から少女の姿を追う。 何故か目から離せないのだ。 それが更に彼の苛立ちを募らせた。 (なんだってんだ、あの女・・・)
西の空が、徐々に赤く染まり始める。 夕日に照らせれた特館の屋根が、うっすら輝いて見えた。 「お疲れ様、み・か・ど」 屋根の上で手を振る人影に、彼の眉間が一気にしわよった。 半分無視して、帝は屋根の上に降り立つ。 「空中からのお見送り、ご苦労様」 「貴様・・・一辺、ここから落としてやろうか」 苛立つ心をぶつけて言ったが、1歳年上の先輩には通じなかった。 「やあね、帝ちゃん、そんなに怒らないでよ」 「その気色悪い言葉遣いはやめろっ!」 怒鳴って帝は、雅人の胸倉を掴んだ。 そのまま突き落とそうと、屋根の端まで行くが、雅人は優雅に微笑んだままだ。
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2007/08/20(Mon) 10:47:08
「君らしくもないね、帝。何むきになってるんだい?」 「・・・・・・」 「感情に走るなんて、君もまだまだお子様だね。ここで僕を突き落として、心のもやもやが収まるのかな?」 「くっ」 帝は顔を背け、雅人を屋根の端に下ろした。 そのまま背を向け、生徒会室の窓を開ける。 「帰れ。俺は最高に気分が悪い」 「残念だけど、そういうわけにはいかないよ」 薔薇の花を差し出しながら、雅人は微笑んだ。 「英司の報告、聞きたくない?」 帝は何も言わず、生徒会室に入る。 窓は、そのまま開けたまま---。 (ふーん、やっぱり気になるんだ) 入って来いってか。 薔薇を手に、雅人は笑むと、生徒会室に入っていった。
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2007/08/21(Tue) 11:04:15
「はい。雅人様直伝のローズティー。おいしいよ」 椅子にふんぞり返って無言の帝に、雅人はティーカップを差し出した。 じろりと睨まれたが、彼はそんな視線をものともせずに、自分のカップに口をつける。 「あー、美味しい。やっぱり午後のお茶は最高だね」 「さっさと用件を言え!」 「あせるなよ。どうせ君にだって、わかってるはずだろ」 かちゃっとカップを置き、雅人は真剣な目になった。 「単刀直入に聞くけど、君はあの少女をどう思っているの?」 「うっとおしい!」 「それだけ?」 「目障りだ!」 「それから?」 「・・・わけわからん!」 帝は叫んだ。 「どうしてだかわからない。でもあいつを見てると、心が苛つく。どうでもいいから、目の前から消えてもらいたい。それだけだ」 「そう」 雅人は、静かに微笑んだ。 「君をそんな風にかき乱す存在だということだね」 「・・・・・・」 「どうしたの? 認めたくない? 彼女が君にとって、なんらかの特別な存在だということが」 「!?」 帝の顔が、真っ赤になった。
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2007/08/22(Wed) 13:30:37
雅人は探るように、彼を見る。 「帝、君にはわかっているはずだ。本当の君には、ね」 「どういう意味だ」 「今の君自身には、よく理解できないだろう。でも君の本心は、彼女を認めている。それがどうしてだかは、僕たちにもわからないけど」 ふっとためいきを落とし、雅人は言った。 「本題に入るよ。君にはもうわかってるだろうけど、彼女は白だ。黒板消しの一件は、彼女のせいじゃない」 「・・・・・・」 「英司君が、しかと確認してきたよ。あの時、黒板消しを落としたのは、別な少女だった。彼女はね、黒板消しを落として驚くクラスメイトを怪訝に思い、同じ窓から下を覗いた。そして君を見つけたんだ」 「・・・・・・」 「そこに、彼女は良く知っている少年---君を見た。だから下に降りてきたんだよ、君に会いに」 「馬鹿な!」 帝は、立ち上がった。 「俺はあいつとは、あの時初対面だ。会ったことなど」 「いいや、帝。君は会ってるんだよ、あの子と」 雅人はゆっくり断言するように言った。 「少なくとも彼女は、君に会ったと言っていた。君から、これを借りたと」 雅人は、中等部学生名簿を見せる。 帝の顔色が変わった。 「そんな・・・」 「よく思い出すんだ、帝。君は彼女に会っている。そして彼女にこれを貸した。彼女は、これを---この学校の、いや魔族の重要機密事項を記したこの名簿を貸してしまいたくなるほど、大切な存在なんだ。そうだろう? 君にとっては」
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2007/08/23(Thu) 10:24:11
帝の顔が、怒りから驚きに変わった。 衝撃が彼を包む。 「嘘だ・・・俺は何も覚えていない」 「もちろん、今の君はそうだろう。でも本当の君は? そうじゃないと言い切れるかい?」 「それは・・・」 帝は言いよどむ。 「今の君では、それはわからない。でも確かめるすべはあるさ」 雅人は、帝に座るように促した。 「一口飲めよ、落ち着くぞ」 帝は黙って座りなおし、カップを口にした。 暖かなお茶が、体中に染み渡る。 「・・・うまいな」 「僕のお手製だよ。当たり前だろ?」 微笑んで、雅人は続ける。 「今年ももちろんやるんだろう? 君の愛の争奪戦」 「ああ」 「だったら話は早い。彼女をエントリーしなよ」 帝は、思わずカップを取り落とした。 「あいつを!?」 「そう、嫌かい?」 「冗談だろ! もし万が一のことがあったら」 「万が一のことがあったとしても、どうだっていうんだい? どうせ期限付き。たかだか一年だけじゃないか」 「・・・・・・」
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